凪とスウェル

熱があるせいなんだろう。


いや、心が折れていたからかもしれない。


あまりにつらくて、誰かに話したかったのかもしれない。


それが、たとえ母親であっても…。


俺はすずと初めて出会った時から、今までのことを全て話した。


母親は黙って、俺の話に耳を傾けていた。


時折頷いたり、相づちを打ちながら…。


頭がボーッとしていたから、ちゃんと話せているかどうかわからなかったけど。


俺はゆっくり、順を追って話した。


どれくらいの時間、話していたのだろう。


気がつけば、目から涙が流れていて。


それが恥ずかしくて、さっき額に乗せてあったタオルで涙を拭った。


俺の話が終わると、母親は一点を見つめて、何か考えているようだった。


俺が自分のことをこんなに話したのは初めてだから。


かなり戸惑っているだろうなとは思った。


母親ははぁと長い息を吐くと、俺にゆっくり視線を移した。