凪とスウェル

「ねぇ、隆治。

私がこんなこと言う資格はないけど。

あなた、いつまでそれを続けないといけないの…?」


「は…?」


「いつになったら、許してもらえるの…?」


母親にそう言われて、返す言葉を失った。


千春さんに付けてしまった傷は、一生残るものだ。


美容整形などで仮に治せたとしても。


ハードルが跳べなくなったことは、どうしようも出来ないんだ。


千春さんの母親の喜びや、千春さんの夢を奪ってしまったのだから。


その罪は限りなく重い気がする。


それが許される日なんて、来るのだろうか…?


もちろん最初は、一生かけて償うつもりだった。


でも、すずに再会したことで、その決心が揺らぎ始めたんだ。


すずを好きな気持ちも、すずと一緒にいたい気持ちも。


抑えることなんか出来なかった。


この頃、疲労がひどく溜まっていた。


もしかしたら免疫力が落ちていたのかもしれない。


一番ダメージを受けたのは、すずが島へ帰ってしまったことだ。


それでもう。


完全に力が抜けてしまったんだ…。