部屋に戻ると、俺は布団の上に愕然と膝を落とした。


そっと布団をめくると、すずが眠っていた場所が、まだほんのり暖かかった。


すず…。


どうして帰ったんだよ。


どうして…?


この前、アパートに来てくれた時言ったろ?


帰る時は絶対に俺を起こしてって。


勝手に帰ったりするなって。


目が覚めた時にすずがいないことが。


何より一番つらいんだ。


ここ何年も、ずっとそうやって、悲しい朝を迎えて来たから。


だからせめて、本当にすずがいる時は。


目覚めた時に、そばにいて欲しいんだ。


それなのに…。


バカすず。


ふと布団を見渡すと。


昨夜すずと激しく愛し合った跡が、布団のあちこちに残っていた。


その跡にそっと触れると。


勝手に涙が流れていた。


まだすずの香りが残った布団を抱きしめながら。


俺は声を上げて泣いた。



すず…。



やっぱり俺…。



すずのそばにいたい。



いつも。



どんな時も…。



すずがいないと



もう生きていけそうにない。



すず…。



もうこんなにも



お前に会いたい…。