凪とスウェル

そう言った直後、隆治の瞳から涙がはらりと流れた。


その言葉を胸いっぱいに噛みしめて。


あたしは何度も何度もうなずいた。


そのたびに涙が、ぽろぽろと頬を伝った。


隆治の右手が、あたしの肩から頬へするりと移動する。


その感触に、一気に頬に熱が帯びていく。


高鳴る心臓の鼓動を聴きながら、あたしはゆっくり目を閉じた。


そうしたら隆治の前髪があたしの瞼に触れて。


その直後…。


隆治の唇が、あたしの唇にそっと重なった。


身体がビクンと揺れたと同時に、隆治はあたしの腰をぐっと引き寄せた。


すぐそばにキッチンのある玄関で。


あたしは靴を履いたまま、裸足の隆治と強く抱き合いながら、熱いキスを交わした。


長い長いキスの後、ゆっくりと唇を離した隆治は。


至近距離であたしを真っ直ぐに見つめていた。


隆治の揺れる瞳の奥から感じ取った気持ちは。


あたしの思いと同じだった。



もう言葉なんて。



必要なかった。