凪とスウェル

本当にそうだね…。


あの時、隆治と会えていたら。


お互い、こんなつらい思いはしなくて良かったんだ。


多分、あたしも病気になんてなっていなかっただろうし。


事故を起こしてつらい思いをしている隆治を、支えることだって出来た。


だけど、もうそんなこと言ったってどうしようもない。


前を向いて、歩いていくしかないんだ。


あたしも、隆治も…。


「すず…」


「ん?」


「俺ね…。


ずっと、すずに伝えたかったことがあるんだ…。


聞いてくれる…?」


伝えたかったこと…?


「もちろん」


あたしはにっこり笑って、隆治の言葉を待った。


隆治は一度目を閉じると、ゆっくり瞼を開いた。


その瞳は潤んでいて、いつも以上に綺麗だった。


いつにないその真剣な表情に、少し胸がドキドキする。


隆治はあたしの肩に、そっと両手を置いた。


「すず…」


隆治はせつなそうに目を細めると、静かに息を吸った。




「愛してる…」




「隆治…」





「今までも。



これからも。



ずっと



すずだけ愛してる…」