凪とスウェル

どうして俺達は、いつもこうして離れてしまうんだろう。


離れたいなんて、これっぽっちも願っていないのに。


運命に翻弄されて、一緒になることを許されない。


「俺、幸せになっちゃいけない人間なのかな…。

前世で、何か悪いことでもしたのかな…」


思わず、ぽつり呟いていた。


「幸せになろうとすると、それを目の前で奪われるんだ…。

思えば、ずっとそうだった。

酒屋を継いで、ずっとすずと一緒に島で暮らしたいって思ってたら、じいちゃんが死んで。

あと数日ですずに会えると思ったら、あんな事故があって。

千春さんと別れて、やっとすずと一緒になれると思ったら、すずは島に帰る…。

どうして…?

どうしてなんだろう…」


「隆治…」


やっぱり俺なんか、この世に生まれるべきじゃなかったんだ。


生みの親は、すっかり俺のことを見放してるし。


一番大切な人も手に入れられないし。


こんなの、あんまりだ…。