凪とスウェル

こんな時間に誰だろう…?


不思議に思いつつ、ドアスコープを覗くと。


なんと、すずが立っていた。


俺は慌ててドアを開けた。


今日は朝からずっと雨が降り続いていて、すずのコートはかなり濡れていた。


「どうしたんだよ?こんな雨の中。

風邪ひいたら大変だろう?」


すぐに扉を閉めて、すずを玄関へ入れた。


とりあえずすずのコートを預かり、玄関にいつも置いているハンガーにかけた。


「どうした?

もしかして会いに来てくれたのか?

嬉しいよ。

すげー会いたかったんだ…」


そっとすずの両手を取ると、氷のようにすっかり冷え切っていた。


「あのね、隆治…。

大事な話があるの…」


「え…?」


大事な話って、何…?


すずの顔をじっと見つめていると、すずの目に涙が一気に溜まっていった。


「どうしたんだよ。

どうして泣いてる?

何かあったのか?」


どうしよう…。


すげーイヤな予感がする。


すずは一度目をぎゅっと閉じると、俺の顔を真っ直ぐに見上げた。



「隆治…。



あたし、



島に帰ることになったの…」