凪とスウェル

「どうして、この島に…?」


あたしの問いに、八神はなぜか目をきゅっと細めた。


「あっ。言いたくなかったら、言わなくてもいいんだけど」


八神はあたしの顔をチラッと見て、フッと鼻で笑った後、また夕日の方に目を移した。


「今俺がここで言わなくても、島のヤツはみんな知ってるから、どうせすぐ知ることになるよ」


「はぁ…」


「現に俺も知ってるし」


「何を?」


「アンタが島に来た理由」


「あー…」


思わず、はぁとため息が出た。


「俺もまぁ島のそういう筒抜けなところは、あんまり好きじゃない…」


だよねー…。


人間関係が濃くて、良いような悪いような。


知られたくないことでさえ知られるのは、あんまりいい気がしないよね…。