凪とスウェル

今日の奥さんの態度からして、あまり良い予感はしないけど。


でも、いつかは話し合わないといけないことだ。


俺は意を決して、リビングの扉を開けた。


「失礼します」


中に入ると、奥さんはソファーに腰掛けていた。


「そこへ座って」


奥さんに言われるまま、俺は奥さんの正面のソファーに腰掛けた。


こうして向かい合わせに座ると、余計に緊張が高まってしまう。


「昨日、千春から聞いたわ…」


奥さんの少し低めの声に、ドクンと心臓が飛び跳ねる。


「長谷川君、昔の恋人とヨリを戻したそうね…」


それは事実だから、はいと返事をした。


「千春、ひどく泣いてたわ。

よほどショックだったんでしょうね。

あなたのことが、大好きだったから」


そう言われて胸は痛むけど、もうとにかく謝るしか、他に方法はないと思われた。


「正直私…、すごく腹が立ってるの…。

あの子があれだけ泣くのは、あの事故に遭って以来よ。

あんなふうに娘が泣く姿を、母親としてもう二度と見たくなかったのに…」