凪とスウェル

その次の日のことだった。


朝一に置くパンを全て作り終え、陳列をしていると、奥さんが店舗に顔を出した。


「おはようございます」


俺がペコリ頭を下げると、奥さんはなんだか表情が硬くて、何も返事をしてくれなかった。


昨日、千春さんが奥さんに話をすると言っていたから。


きっとそのせいなんだろうと思った。


いいんだ。


こんなこと、なんでもない。


何と思われても、どんな態度を取られても。


すずを失う以上の悲しみは、俺にはないんだから…。


結局、その日は一日、奥さんは口を聞いてくれなくて。


正直気が滅入って来ていたけど、そのたびにすずを思い出していた。


休憩時間のたびに、すずが俺のアパートに来てくれた時に一緒に撮った画像を何度も見て、自分を奮い立たせた。


そうしてその日の仕事が全て終わった頃。


奥さんが俺をリビングに呼んだ。