凪とスウェル

「正直に話したって、クビになんかならないわ。

長谷川君がいなくなったら、ウチの店、本当に困るもの…。

父も母も、長谷川君を本当に頼りにしているから…」


俺は拳に力が入っていた。


「従業員としてここで働くのはいいんですけど。

もう店を継ぐことは出来ないので。

そこは、ハッキリさせておきたいんです」


俺の言葉に、千春さんがはぁと息を吐いた。


「そうだね…。

長谷川君の言う事はもっともだよね…」


千春さんは何か考えているようだ。


「わかった。

今日店を閉めたら、父のお見舞いに行くんだけど、その帰りにでも母に話すわ。

すぐに父に話すかどうかは、母に判断してもらうわね」


「あ、じゃあ俺からも話した方がいいですよね?

一緒に行きますけど」


「いいわ、大丈夫。

私がうまく話しておくから…」


なんだか不安だったけど、千春さんはもう決めてしまったようで。


それから幾度となく俺も行くと言ったけれど。


千春さんは聞く耳を持ってくれなかった。