凪とスウェル

「ねぇ、長谷川君…」


俺の顔は見ずに、千春さんが俺の名を呼んだ。


「そのことなんだけどね…。

お父さんに話すのは、ちょっと待ってもらえないかな…?」


「え…?」


それは、一体どういう…?


「お父さんの病って、心臓でしょう?

今そんなことを聞いたら、ショックでまた悪くなっても困るし。

退院するまで、そっとしておいてもらえないかな…」


「え、でも…。

師匠が退院するのはまだまだ先ですよね?

そこまで俺、待てないです…」


早く解決して、すずを安心させてやりたいし…。


「俺はもう、クビになったって構わないんです。

その覚悟は出来てますから…」


何て言われてもいい。


罵倒されたって構わない。


すずさえいてくれたら…。


俺は他には何もいらないんだ…。