凪とスウェル

「あの、千春さん」


俺はすぐに千春さんのいるリビングに行って声をかけた。


ちなみに奥さんは今、店舗で接客中だ。


「あっ、長谷川君にもお土産があるの」


そう言って、お土産の袋を手渡す千春さん。


中には、お菓子やタオルなんかが入っていたけど。


正直、そんなのどうでも良かった。


「千春さん。

俺…、千春さんと別れたことを、ご両親に話したいんだけど」


俺の言葉に、千春さんの動きが止まる。


「俺、てっきり千春さんがご両親に話すのかと思ってて。

結構覚悟決めてたんだけど…。

千春さん、何も言わずに海外に行っちゃったから…」


「あぁ…、ごめんね。

なんか、ちょっと言い出しにくくて。

じゃあ長谷川君、まだウチの両親に話してないの?」


「うん…。

話そうと思ったら、師匠が倒れたから。

とてもじゃないけど、そんなタイミング無くて…。

千春さんもいないのに、一人で言うのもなんか気が引けるし…」


「そう…」


千春さんはぽつり呟いた。