凪とスウェル

いつもは毒舌な八神だけど、今日はなんだか普通に話してくれて。


ちょっと居心地がいいな、なんて。


そんなことを思ってしまった。


八神は学校のことや、島のことを色々教えてくれた。


あたしはそれを楽しく聞いていた。


気がつけばあたしと八神は結構話し込んでいて、辺りが少し薄暗くなり始めていた。


「見てみな」


「ん?」


八神が指差す方向に目をやると。


「わ…あ…」


遠くの島に沈んでいく夕日が、空と海をオレンジ色に染めている。


「すごい、すごーい!すごい綺麗だ」


あたしは思わず立ち上がって、目の前の柵に手をかけた。


太陽はその存在をまだしっかり示すかのように、強く光り輝いている。


その光が海に反射し、キラキラと飛び散ってまるで宝石のようだ。


「ここの夕日は格別なんだ。

島の自慢は、この夕日だと俺は思ってる」


八神の言葉にあたしは大きく頷いた。


こんな夕日、東京じゃ見れないよ…。


なんて、綺麗なんだろう…。