凪とスウェル

右京から聞いた病院に到着した頃には、空はもうすっかり暗くなっていた。


夜間受付ですずの居場所を聞き、俺はエレベーターに乗り込んだ。


シンとしたエレベーター。


消毒液なのか何なのか、病院独特の匂いがほのかに漂っている。


4階に到着し、エレベーターを降りる。


どこを目指していいのかわからずキョロキョロとしていると、見覚えのある女性の姿が目に入った。


その人はカツカツとヒールの音を鳴らしながら、こちらに歩いて来ていた。


「あれ…?

隆治!どうしてここに?」


スーツを着たサエが、大きく目を見開いて俺に駆け寄る。


「右京から連絡があったんだ。

サエ、すずの容態は?」


俺の問いに、サエがはぁとため息をついた。


「手術は無事終わったよ。

でも今はICUだから、面会は出来ないのよ。

まだ、麻酔で眠ってると思うし。

だから、隆治には連絡しないでって右京には伝えてたのに…」


「ICUって…。

そんなに大変な病気だったのか?」


「う…ん。

下手したら命を落としていたかもしれないけど…。

でも、すぐに手術したから、もう大丈夫よ」


サエの言葉にゾクリと悪寒が走った。


命を落としてた…?


すず…っ!