凪とスウェル

ふと窓の外に目を向けると、街はすっかりクリスマスモードで。


このカフェもツリーが飾ってあったりして、年末が近づいていることを思わせる。


「もうすぐ15時ね。

そろそろ事務所に帰店しなきゃ」


そう言ってサエちゃんが残りのコーヒーを飲み干す。


「忙しいんだね、サエちゃん」


「ううん。そうでもないよ。

やるべきことさえきちんとやっていれば、わりと自由なのよ、この仕事。

ずっと事務所に閉じこもるのは性に合ってないし。

人と会うのが好きだし、空いた時間でいろんなことが出来るし。

私にはピッタリの仕事だなって思ってるの」


そう言ってにっこり笑うサエちゃんは、なんだかキラキラしていて、カッコイイなと思った。


「後期はほとんど授業がないんでしょ?

またこうやってお茶しよう。

今度はさ、ネイルしに行こうよー。

私、すずちゃんと会うと楽しいから」


「私もだよ、サエちゃん。また誘ってね」


支払いを終え、二人でカフェの外に出ると、外は店内と違って随分寒かった。


風が強いので、サエちゃんと少し身体を寄せ合い、駅までの道を歩いていたその時だった。