凪とスウェル

12月中旬。


あたしは右京君の彼女のサエちゃんと待ち合わせて、お洒落なカフェに来ていた。


大学に入学してからずっと勉強一筋で頑張って来たのもあって、後期は随分ラクになっていた。


「本当にごめんね。すずちゃん」


そう言って深く頭を下げるサエちゃん。


サエちゃんは右京君から全て事情を聞いて、今あたしに必死に謝っているのだ。


「サエちゃんのせいじゃないんだから。

もう謝らないで」


「ううん。私のせいだよ。

隆治が私を送っていなかったら、あんな事故を起こすこともなくて。

すずちゃんと隆治が別れることもなかったんだから。

本当にごめんね…」


目に涙を浮かべるサエちゃんを見ていたら、あたしも泣きたくなってしまった。


「それにしても隆治ったら、まだ千春ちゃんに話してないんだってね。

すずちゃん、隆治とは会ってるの?」


サエちゃんの言葉に、あたしは首を横に振った。


「メールのやり取りはしてるけど、会ったりはしてないの。

ちゃんとけじめをつけてから会おうねって話し合ったから…」