「俺さ…、高校の時転校してきただろ?

本当はさ、すげーイヤだったんだ。

すずとは絶対離れたくなかったし、母親とは暮らしたくなかったから。

でも、じいちゃんが死んだから仕方なく、東京へ行くしかなかったんだ…」


俺の話に、右京は黙って耳を傾けている。


「家に居場所はないし、すずには会えないし。

すっかり気が滅入ってたけど、お前が居てくれたから。

だから、なんとかやって来られたんだ。

お前の両親が補償してくれなかったら、俺、今頃どうなってたかわからないし…。

お前とお前の両親には、すげー感謝してる。

だから、変に責任とか感じてほしくなかったんだ…」


俺の言葉に、右京が鼻から大きく息を吐いた。


「まぁ…。お前の気持ちは嬉しいけどさ。

でも、なんでもかんでも一人で抱え過ぎ!

育って来た環境のせいかもしんねーけどさ。

ちょっとくらい、人に甘えてもいいんじゃねぇの?」


右京にそう言われて、なんだか少しせつなかった。