凪とスウェル

東京に引っ越してから、それはうすうす感じていた。


義父って普段は穏やかな人で、母親や妹にはすごく甘いけれど。


俺と二人きりになると妙によそよそしいし、何も話しかけては来なかったから。


多分、俺を息子として受け入れられてないんだろうなって…。


それは、なんとなくわかってたよ。


母親と義父と妹がリビングで楽しそうにしていると、俺はとてもじゃないけど、そこに入る勇気はなかった。


母親は普通に俺と接してくれてたけど、常に義父に気を遣っているようだったし。


俺さえいなけりゃ、平和な家族だろうにと。


いつも、そう思ってた。


だから、だんだん俺も家に寄り付かなくなって…。


右京の家に、よく出入りするようになってた。


外泊したって、誰も文句は言わないし。


どうでも良いと思われているみたいだった。


そんななか起こした事故で、義父の本音を聞いてしまって。


俺は目の前が真っ暗になった。