携帯を見ながら、隆治の動きが止まっている。


あたしは一度深呼吸をして、真っ直ぐに隆治を見つめた。


「この携帯の待ち受け画面を見た右京君が、あたしに連絡をくれたの。

右京君ね、もう夏の時点で、あたしと隆治が付き合っていたことに気づいていたの。

事故のことも…。

全部、さっき教えてくれたの…」


隆治の瞳が、ユラユラと揺れている。


それを見ていたら、なんだか泣きそうになってしまった。


「とりあえず、寒いし。

中に入って…」


隆治に促され、あたしは部屋の中へと足を踏み入れた。


小さなキッチンの向こうの扉を開けると、6畳ほどの狭い部屋が現れた。


「さっき引っ越して来たばかりだから、まだ全然片付いてないんだ。

とりあえず掃除して、寝る場所の確保をしてたところ」


「そう…」


「狭いけど、座って…」


うんと頷き、小さなテーブルの前に静かに腰を下ろした。


あたしはそのテーブルの上に、そっと隆治の携帯を置いた。