凪とスウェル

病院に到着したら、ケガをさせた相手は既にオペ中だった。


手術室の前には、被害者の両親と思われる二人が立っていて。


隆治は、すぐさま土下座をしていたよ。


その後ろ姿を見ていると、胸が痛くてたまらなかった。


そんな隆治に、そのご両親は命があっただけ良かったって。


キミにもケガがなくて良かったとおっしゃったんだ。


なんてすごい人達なんだろうって思った。


ケガの状態がどんなものか、その時はよくわからなかったけど。


治療費などかかる費用は全て、俺の親がかけていた保険から出すことになった。


俺の親、俺がやんちゃすると見越して、かなり良い保険に入ってくれてたみたいで。


貸した方にも責任があるし、お金のことは気にしないでいいって、俺の両親は隆治を必死に励ましたんだ。


だけど隆治は終始、申し訳なさそうに頭を下げていた。