凪とスウェル

「ちょっ、隆治?」


隆治のすごい力に、身動きが取れない。


「うぅ、苦しいよ…っ」


隆治の腕は、なぜかブルブルと震えている。


「すず…、良かった…。いなくなったかと思った…」


そう言って、隆治はますます力を込める。


ぐ、ぐるじい…。


離してくれないと、呼吸すらまともに出来ない。


なんとか首を動かし、隆治の顔を見上げた。


「隆治…?」


起きているのかと思いきや、隆治は眠っているようで。


少し乱れた寝息が、あたしの頭上にかかっていた。


何?これ。


無意識なの?


困ったな。


う、動けない…。


あたしは抵抗するのを辞めて、そのままじっと横になった。


その後も、隆治はたびたびあたしの名を呼んでいて。


あたしはすっかり困惑してしまった。