凪とスウェル

「すず…」


か細い声に呼び止められた。


くるり振り返ると、隆治はさっきと同様、目を閉じていた。


「どうしたの?喉乾いた?」


聞いてみるけれど、返事はない。


「隆治…?」


近くに行って、顔を覗き込んでみる。


すると隆治は、寝息を立てて眠っていた。


「あれ?やっぱ寝てるんだよね…?」


おかしいな。


確かに呼ばれた気がしたのに…。


そう思いながら立ち上がろうとした時。


また名前を呼ばれた。


その声に振り返ると、隆治はぎゅっと顔をしかめていた。


「すず…。すず…。す、ず…っ」


あたしの名を何度も呼ぶ隆治。


思わず両手で口を押さえた。


これって…。


これってもしかして…。


右京君が教えてくれた。





寝言…?