凪とスウェル

あーあ。


絶対酔ってるよ、この人。


でも、ちょっぴり面白いかも?


「すずー」


「ん?」


「お前はー、ちゃんと恋をしろよー」


「え?」


「恋をしろー。

それも、めちゃくちゃ甘いやつー」


「何よ、それ」


そう言うと隆治は、身体の向きをあたしの方へ向けた。


「俺らの間には、そういうの無かったもんな。

恋人らしいこと、なーんも出来なかったし。

そういうのって、やっぱいいだろ?

片岡ならやってくれるよー。しかも、とびっきり甘いやつ」


「隆治…」


そういう隆治はどうなんだろうと思った。


千春ちゃんと甘い恋をしていないの…?


「お前、大学卒業したらどうすんの?」


「あたし?あたしは就職するよ。もう内定もらってる」


「場所は?東京?」


「うん。東京」


「ふぅん。そか」


隆治はきゅっと目を細めた。