凪とスウェル

「やっぱいいよなー、穏やかな海は。

見てて、なんか落ち着くよな」


「うん…」


「すず。東京にいるより、顔色が良いみたいだ」


「ほんと?果樹園の手伝いで汗をいっぱいかいて、おばあちゃんの美味しいご飯を食べてるからかな?」


あたしがそう言うと、そうかもなと隆治が笑った。


ここから見る海の景色はすごく綺麗だ。


だけど…。


ここに来た時はいつも、明るい未来を夢見てたから。


隆治とずっと一緒にいられることを、願っていたから。


だから、なんだか泣きたくなってくる。


隆治が横にいてくれたって、この距離はこれ以上縮むことはない。


平行線のまま、一体どこまで続いていくのだろう。


なんだか、気が遠くなる…。


「なぁ」


「ん…?」


「初日の出って、願い事叶わないよな…」


「え…?」