凪とスウェル

海岸沿いを、軽トラックが軽快に駆け抜けて行く。


ずっと窓を開けっぱなしにしているので、あたしも隆治も髪がボサボサだ。


隆治は左肘を窓枠にかけて、穏やかな海をじっと眺めているようだ。


高2のお正月。


隆治のバイクの後ろに乗って、この道を走ったっけ。


高3のお正月は、一人で自転車を漕いで行ったんだよね。


あれ以来、ここには近づかなかった。


近づきたくなかったんだ。


まさか隆治と二人で、またここに来ることになるなんて…。


道路脇に軽トラを停め、二人して車から降りると、砂浜へと足を運んだ。


「懐かしいなー。

全然変わってない」


隆治が真っ青な海に目を細める。


あたしは砂浜にそっと腰を下ろした。