凪とスウェル

あたしと隆治は頭から水をかぶってしまい、悲惨な状態になっていた。


「うわー。すげー濡れた」


「もうっ!だから言ったじゃん。ポンチョがいるって!」


「お前大丈夫か?うわー。髪の毛むっちゃ濡れてるじゃん」


堪えきれない様子で、クスクス笑う隆治。


「笑いごとじゃないわよ。どうしてくれるのよー」


「あーもう!わかった!俺が悪かった!」


楽しそうに笑う隆治とは反対に、あたしは寂しくなっていた。



水に濡れた瞬間。



全部思い出してしまった。



さっきのお化け屋敷の出来事と。



今乗っているボートのような乗り物が。



あの日の記憶と、



重なったんだ…。



しばらくすると降り口に到着したので、あたしと隆治は濡れた身体のまま、乗り物を降りた。


「すず。ここで待ってて。俺、タオル買って来る」


「あ、うん」


そう言うと隆治は、ショップの方へと走って行ってしまった。


あたしは、近くにあったベンチにそっと腰を下ろした。