凪とスウェル

隆治が前に乗り、その後ろにあたしが乗り込んだ。


乗り物は水の上をゆらゆらと進んで行く。


あたしの目の前にいる、隆治の後ろ姿を見つめてみる。


隆治、昔よりたくましくなったかも。


毎日パンを扱っているからかなあ。


半袖から出た腕の筋肉が、ハンパじゃない。


隆治の後ろ姿が好きだった。


惚れ惚れ見ていたものだよね…。


確か、あの日も。


あの日…?


その時だった。


突然乗り物がグラリと揺れて、急な坂道を昇り始めた。


「おいっ。結構高いけど、大丈夫かな?」


「そ、そんなこと今さら言われても」


想像以上の高さに、あたしも隆治も少しうろたえていた。


そしてついに、乗り物は下り坂を一気に下り始め、水面に浸かった瞬間。


バシャーーーンと大きな水しぶきが、あたし達の身体に直撃した。