凪とスウェル

「お前、すずっていう名前?」


突然意外なことを聞かれて、目がパチパチしてしまう。


「右京。さっきから僕、ずっとすずちゃんって呼んでたじゃん。何なの?今さら」


呆れた顔の片岡君。


ご飯を食べ終わるまで、どうやら彼の耳には何も入っていなかったようだ。


「お前、出身どこ?」


出身?


なんでそんなことを聞くんだろう。


「え、あたし東京だけど」


あたしがそう言うと、彼の険しかった表情が少し緩んだ。


「あー、東京か…」


何なんだろうと思いつつ、あたしは残っていたご飯を口に運んだ。


だけど、なんだか落ち着かない。


目の前に座るその彼が、あたしの顔を舐めるように見ているからだ。


こうして真正面でじっくり見てみると、ワイルド系で結構セクシーな顔だったりするんだよね。


隆治の周りには、男前が多いのだろうか…。


「あの…。あたしの顔、何か付いてる?」


あまりに見つめられるので問いかけると、彼は何も言わずに首を横に振った。


うー。


一体何なのー?