凪とスウェル

駅の構内で片岡君と話しながら待っていると、日に焼けた筋肉質な男性が、大きく手を振っている姿が見えた。


もしかして、あの人がお友達かな?と観察していると。


「おう!久しぶりー!」


辺りに響き渡る、やたらとデカイその声にぎょっとして、あたしはしばし固まってしまった。


「あっくん、やったじゃねーか!こちらが彼女?」


近くに来るなり、バチンと片岡君の背中を叩くお友達。


「う、うん。えっと彼女は植村…」


「紹介は店でしてくれよー。

俺、仕事帰りで腹減ってて。

この駅なら、近くにうまい定食屋があるんだ。

そこでもいい?彼女さん」


「はい?」


いきなり話を振られ、また固まるあたし。


「う、うん…。かまわないよ」


定食なら、ヘルシーなのがあるだろうしね。


夕飯にはまだ早いなと思いつつ、あたしと片岡君は彼の後ろに付いて歩き始めるのだった。