凪とスウェル

「理性…?」


目をパチパチさせて尋ねると、隆治は視線を天上に向けて、やれやれといった感じでため息をついた。


「あのなぁ。

俺も一応、男なわけ。

好きな子と部屋で二人きりになって、ムラムラしないわけないだろ?」


ムラムラ…?


「お前、この部屋に何回来た?

俺ら、何回二人きりになった?

そのたびに俺が、どれだけ必死に理性を保ってたか、お前にわかるのかよっ」


隆治の言葉に、ドキンと心臓が跳ね上がる。


うそ…。


そうだったの?


確かに何度二人きりになっても、隆治は何もしなかったけど。


隆治、ガマンしてたの…?


「な、なんで、ガマンしてた…?」


思わず聞いてみると。


「そんなの当たり前だろ?

すずが俺のことを好きかどうかもわからないのに、そんなこと出来るわけねーじゃん」


隆治…。