凪とスウェル

隆治から、こんな甘い言葉が出て来るなんて…。


なんだか隆治じゃないみたい。


きっと、それだけ追い詰められているんだ。


だって。


あたし達には、もう時間がないから…。


「二学期中には、伝えようと思ってた。

もしお前が東京の大学へ行くって言い出したら、その時は好きだって言って、引き止めるつもりだったんだ…」


隆治があたしの肩に、トンと顎を乗せる。


頬と頬が触れ合って、胸がギュッと締め付けられた。


「焦って告って、もし振られたら、もう一緒にいられなくなると思って。

そう思ったらさ、怖くてなかなか言えなかったんだ…」


「隆治、あたしもだよ…。

何度も好きって言いそうになったけど、言ったら今の関係が壊れるんじゃないかって思って…。

そう思ったら、とてもじゃないけど言えなかった…」