凪とスウェル

「心配しなくていいよ。

大丈夫。

明日には元気になってるから」


「ホントに…?」


あたしの問いに、隆治はうんと頷いた。


隆治が一人になりたがってることを察したあたしは、スッと立ち上がった。


「じゃあ…、帰るね…」


「うん」


床に置いていたカバンを取ると、あたしはドアノブに手をかけ、ガチャンと扉を開けた。


なんだか後ろ髪を引かれつつ廊下に出ると。


「すずっ」


隆治に呼び止められ、あたしはくるりと振り返った。


「……。ありがとな…」


優しい瞳で言う隆治に、あたしはにっこり笑って手を振った。


そうしたら、隆治も手を振ってくれた。


あたしは前を向くと、今度は振り返らずに、そっと扉を閉めた。