凪とスウェル

少しだけ触れて唇を離すと、隆治は視線を落としたまま、ただ一点を見つめていた。


あたしはふと我に返り、自分がしてしまった行為に、一気に汗が噴き出して来た。


あたし、一体何やってんの?


どさくさに紛れて、なんという大胆なことを!


ドクドクと心臓の鼓動が速くなっていく。


下手に身動きも取れず、ただ隆治の顔をじっと見ていたら。


隆治の瞳がゆっくり動いて、視線がバチッと絡み合った。


息が触れ合いそうな距離で見つめ合うあたしと隆治。


どうしていいかわからず固まっていると。


隆治は瞼をそっと閉じて。


ゆっくりあたしに顔を近づけた。