凪とスウェル

母親は、数年前に離婚したことをじいちゃんに伝えた。


じいちゃんはずっと険しい顔をしていて、俺の訪問は歓迎されていないんだなと胸が苦しかった。


知らなかった…。


何があったかわからないけど、母親はもう何年もじいちゃんと連絡を取っていなかったんだ。


終始無口なじいちゃんに、俺は愛想良くも出来なくて、ずっと黙ったまま俯いていた。


母親がしばらく一方的に話した後、少し席を外してくれない?と言われ、俺は仕方なく店の外へ出て、近所をうろうろと散歩したんだ。


目の前に広がる海は、穏やかで綺麗で。


ぽかぽか陽気も手伝って、なんだか心が和むのを感じた。


だけど、いつまで経っても母親が呼びに来ないから、俺は痺れを切らして店に戻ったんだ。


そうしたら。


母親とじいちゃんが、物凄いケンカをしてたんだ…。