凪とスウェル

「隆治!水平線がちょっとオレンジ色っぽくなって来た」


「あ、まじ?」


隆治がムクッと起き上がる。


「あと、20分くらいかな?」


腕時計を見ながら、隆治が教えてくれた。


「わー、楽しみだなー。

初日の出ってさ、何かお願い事すると良いってホントなの?」


「あぁ、らしいな」


「隆治は、何かお願い事してるの?」


「いやー、さすがにしねぇな」


「えー!もったいないじゃん。

せっかく毎年来てるのに。

今年はお願い事してみたら?」


あたしの言葉にケッという顔をする隆治。


「女ってそういうの好きだよなー」


「いいじゃない!信じる者は救われる、だよ」


そう言うと隆治は、肩を揺らしてクスッと小さく笑った。