凪とスウェル

空の色が次第に明るくなり始めた頃、隆治は道路脇にバイクを停めた。


あたしがバイクを降りると、隆治はバイクに腰掛けたままヘルメットを脱いだ。


「ここ?」


「うん。ここが一番綺麗に見えるんだ」


あたしもすかさずヘルメットを脱ぐ。


「じゃあ、行こうか」


隆治の後ろに付いて行くと、隆治は小さなコンクリートの階段を下りて砂浜へと足を運んだ。


サクサクの白い砂浜の上に、隆治の大きな足跡が残っていく。


あたしは歩幅の大きいその足跡の上を、ぴょんぴょんと踏んで歩いた。


そうこうしていると、隆治は立ち止まり、砂浜にそっと腰を下ろした。


あたしもその横に腰掛けてみる。


朝の海はすごく静かで、なんだか波の音が大きく感じる。


あたしと隆治はしばらく黙ったまま、朝の海をじっと眺めた。