ツンデレくんをくれ!

「まあ、いいよ。恋と認めるよ。あたしは中出に恋してると認めるよ」

「早っ」


なんせ惚れっぽいあたしですから。


昔から恋多き女と自負しているあたしは、自分が恋していることは感覚でわかる。


まあ、全部振られたけどな!


小杉くんは結局やっぱり告白しなかったけど、あの反応は明らかに振られたも同然だろ!


男は好きになったら大抵はひたすら攻めるらしいからな!


でも、この恋にはいくつか問題がある。


まず、中出があたしにとって一番近寄りがたい奴であることと、


「あの反応は、志満ちゃんが好きなんだよなあ……」


散々人を好きになったあたしだからわかる。中出は志満ちゃんが好きだ。


人としてか恋愛かはこの際置いといて。


志満ちゃんは同じ高校出身の男子と仲がいい。二人は毎日のように話すんだけど、そこに中出がたまに入ってくるのだ。


気付けば三人で話している。


志満ちゃん曰く、「あいつを介して中出と話している」そうだけど、あたしは介しても話せないんだけど。


今まで気にも止めてなかったけど、傍から見ていてもその時の中出は楽しそうだし。


それに、この間の笑顔も志満ちゃんに向けられたものだし。


「そう? 別に普通やん」

「その普通の域すらいってないあたしは何と言えと」


あたしは女子どころか人としても認められてないってか?


最初からお先真っ暗ってどういうことよ。