月曜日




朝、玄関を出ると、



少し先を海くんが防具袋と竹刀袋を肩にかけて歩いているのが見えた。





「海くん!」





私は少し走って、海くんの隣に行った。





「おう」



「おはよ、海くん。


珍しいね、海くんと朝一緒になるの」



海くんの隣で、駅へと歩き出した。



「あぁ、朝練は俺.....ただ自主的にやってただけだから。





大会も終わったし、しばらく朝練はやめようかなって」



「そっか!昨日の大会どうだった?」




「団体はすぐ負けちゃったんだけど、



個人戦は決勝で負けた、超悔しい」




あはははっと海くんは、前を向いたまま笑った。




「えー!!すごいじゃん、だって2位でしょ?



すごい!おめでとう!」




「あはははっ、ありがとな」







それから、海くんと電車に乗って、


学校の駅で降りた。





改札を通ったところで、



立ち止まった。






「どうした?宇崎???」





吉井くんが愛莉さんと一緒に歩いていて、



愛莉さんが、嬉しそうに笑っていた。




ぱっと吉井くんと目が合って、下を向いた。




「そっか......そういうことか。



宇崎。大丈夫?」






「あ、ごめん、なんでもない。




海くん、行こ」






吉井くんたちから、少し離れたところから、


また、海くんと歩き出した。





ベタベタと、愛莉さんが吉井くんの腕とか背中を触っていて、


その度に、胸が痛んだ。






「宇崎」






「えっ?」




海くんに呼ばれて、隣を見ると、



海くんが優しく微笑んでいた。




「自信持ちな」




えっ.......





また海くんは前を向いてしまった。





階段を下りると、吉井くんが愛莉さんと離れて、



今度は、私たちの前をひとりで学校の方へと歩き出した。






すると、海くんが少し早足になって、




吉井くんのすぐ後ろまで近づいた。




目の前に、吉井くんがいて、


隣に海くんがいて......




「宇崎はいい奴だから」



吉井くんにも聞こえるぐらいの声で、海くんが話し始めた。






「俺は宇崎のいいところ、いっぱい知ってるよ。


優しいとことか、

頑張り屋なとことか、


他にもたくさんあるよ。



自信持ちな。





他の女になんか、そんな簡単に負けねぇって」


「海くん……」

海くんは、まっすぐ前を向いたまま話し続けた。




「頑張れよ。


それでもやっぱ、泣きたくなった時は、


俺のこと呼んで。



じゃ、先行くな」



海くんは、重たい防具を揺らしながら、早足で吉井くんを抜かして、


どんどん歩いて行ってしまった。







すると、吉井くんがくるっと振り向いて、



私の前に立った。