愛莉の家の前に着き、
何度インターフォンを押しても出ないから、
門を入り、玄関の扉を引っ張った。
扉の鍵がかかってなかったから、そのまま中に入り、
階段を上って、愛莉の部屋のドア叩いた。
「愛莉、開けるぞ」
何度そう言っても答えがないから、
嫌な予感がして、思い切りドアを開けた。
すると、床に座った愛莉が、
カッターを手にしているのが目に入ってきた。
「何やってんだよ!!」
俺は愛莉から、カッターを取り上げた。
愛莉の左手首を見ると、ためらい傷のように、
うっすらと血がにじんでいる傷が何本か見えた。
「類.......」
愛莉が俺を見て、類の名前を呼んだ。
鈴がよく転ぶって言うから、
持ち歩いていた消毒とガーゼの絆創膏を、バッグから取り出して、
愛莉の手首を手当した。
そんなに深い傷じゃなくて、よかった......
「死んでも、類には会えないぞ。
そんな簡単に死のうとするな」
絆創膏を貼りながらそう言うと、
愛莉は、涙をこぼして抱きついてきた。