吉井くん、今日来るかな......
待ち合わせの時間は、1時。
家から学校のある駅まで、30分。
今の時刻、12時。
もう、出かける準備はできた。
髪だって、今日は巻かないでストレートにした。
いや、別に愛莉さんを意識したわけじゃなくて......
やっぱ、意識していたのかな.......
あんな風に、大人っぽく慣れたら......
洗面所で、鏡に映る自分を見つめた。
どう頑張っても、幼いな.......
「鈴、どっか行くのか?」
洗面所にお兄ちゃんが入ってきて、
棚からワックスを取り出した。
「うん。学校の駅で友達と待ち合わせしているの」
「その子、かわいい?」
えっ。
「紹介なんてしないからね!ていうか、女子じゃないし」
「んあ???お前、彼氏できたのかよ!」
お兄ちゃんは、髪をふわふわにさせながら驚いていた。
「お兄ちゃん、髪の色明るすぎじゃない?ちゃらいよ」
「話変えんなよ!彼氏と会うのかよ!」
「彼氏じゃないよ、友達、隣の席の子だよ」
「好きなのか?」
お兄ちゃんはワックスを棚に戻して、手を洗い出した。
「どうでもいいでしょ!」
お兄ちゃんはタオルで手を拭きながら私をじろっと見た。
「鈴、スカート短すぎだろ!そんなんじゃお前、男はムラムラと......」
「ばか!!お兄ちゃんのばか!!」
お兄ちゃんの腕をバンバン叩きながら、洗面所を出た。