放課後、いつものように沙希と一緒に体育館に向かった。
このモヤモヤする気持ちも、
きっと風間先輩を見ればすっきりするはず。
体育館の扉から中を覗くと、
風間先輩よりも先に、吉井くんが目に入ってきた。
なんでだろう……
今まで、吉井くんがバスケ部なことも知らなかったのに……
吉井くんは、ダボっとしたTシャツの袖を肩までまくっていて、
小さな顔に反して、
がっちりとした二の腕の筋肉が見えて、
なぜかドキッした。
違う違う、私は黒髪男子には興味ない。
ちょっとヤンキーっぽくて茶髪の、
そう!風間先輩みたいな......って、
風間先輩を探すんだけど、
なぜか、吉井くんばかりを目が追いかける。
きりっとした真剣な表情で、
ドリブルをしながら駆け抜けていく。
少し屈んで、鋭い瞳でボールを見つめて、
下を向いて、ふわふわとした黒髪を、
パサっと揺らすと、綺麗なフォームで走り出して.......
ドリブルしてきた風間先輩のボールを、
吉井くんが目の前で奪って走り抜けていった。
すごい、迫力だった。
「かっこいい.......」
「はいはい、わかったわかった。
風間先輩かっこいいね」
沙希が小馬鹿にするように笑いながら言った。
違う。
吉井くんが………