君の『好き』【完】





手袋のまま涙を拭った。




「私、海くんのことが本当に好きなんだって、


好きだけじゃ言い尽くせないぐらい好きで、



どうやったら、この気持ちを全部海くんに伝えられるかな......



信じてもらえないかもしれないけど、


信じてもらえるまで私......何度でも海くんに気持ち伝えるから。




好きなの……


こんなに心を動かされるの、

海くんだけだから.......



好きなの.....

海くんが大好きなの......」





両手で顔を覆って、泣いてしまった。


どんな言葉を並べても、この気持ちを全部伝えきれない


どんなに気持ちを伝えても、海くんに届かないかもしれない



いろんなことで涙が溢れ出てしまった。



玄関ホールの先には人がいるけど、


奥まっているここは、誰もいない。


沈黙の中、私のすすり泣く声だけが響いた。




「初めて言ってくれたな」





海くんの優しい声に、両手から顔を上げた。




海くんは膝に肘を乗せて前かがみに座って下を向いてた。




「ずっと言ってくれるのを待っていた。




宇崎が俺を好きだって言ってくれるのを。



いつも宇崎はごめんって謝ってばっかで、



俺......


宇崎を苦しめているのは、俺なのかなって思ったりした。




吉井が好きなのに、俺が無理やり自分とこに縛り付けて、


苦しめてんのかなって。



ずっと思ってた」