君の『好き』【完】






海くんはくしゃくしゃになった前髪を引っ張った。




「だって、見たかったし、応援したかった。



海くん、すっごくかっこよかったよ。




優勝、おめでとう」






延長で勝った瞬間、涙が溢れ出た。


海くんはいたって冷静で、優勝しても平然としていたけど。



「あぁ、ありがとなって.....」



海くんは私の膝を見て、大きな瞳をさらに大きくした。



「またコケたの?」



「ちょっと焦っちゃって......」


「何やってんだよ.....」



海くんは下を向いて頭を抱えた。




「だって、海くんにどうしても気持ちを伝えたくて、



私、ずっと海くんのそばにいて、この気持ちが好きって気持ちなのか、


わからなかった。



海くんといると、心が温かくなる。



安心していられる。すごく幸せって思うこの気持ちが、




本当の好きって気持ちなんだって、やっと気づいた。




でも気づいた時には、海くんが離れていってしまって、



自分がバカだったって、すごく反省した。




一番大切な人を傷つけて、一番失いたくない人を失って私......



本当にバカだったって.....」