海くん以外の人を想って.......



「そんなことない。私、海くんのことを」


「もういいよ!




もう.......いいから。



俺、宇崎といるとすっげー幸せだけど、


一気に不安のどん底に落とされる。




宇崎を信じよう、俺たちは大丈夫だって思っても、




また突き落とされる。




吉井を想う宇崎をわかってやろうって、

それでも俺は、宇崎を好きでいようって、


俺は....彼氏なんだって、



何度も自分に言い聞かせた。



キスして、超幸せだって、


宇崎の言葉を信じようって思ってたら、



また......全部が崩れ落ちる。




もう、宇崎が何を言っても、



俺は信じることができない」







海くんはマフラーの入った袋を私に押し付けた。




「海くん、ごめん.....」




「ごめんって謝ってほしいわけじゃない。




宇崎......別れよう。





俺もう......限界だよ」






海くんが手を離すと、ドサッと袋が落ちた。





海くんは振り向くことなく家へと歩いて行ってしまった。




海くんに嫌われた......



自分の行動を思えば、当然のことだ。


私はずっと海くんの優しさに甘えていた。



どんなことがあっても海くんは自分を好きでいてくれるっていう驕りがあった。




嫌われて当然だ。




私はしゃがんで袋を拾って抱え込んだ。




私、何やってんだろう。


やっと好きって気持ちに気づいたのに。


一番大切にしたい人を、一番傷つけて、


一番そばにいて欲しい人を、失ってしまった。




私、何やってんだろう。



バカだ......





私は袋に顔を埋めて、声を押し殺して泣いた。