君の『好き』【完】







ベッドの足元に立っていた私を、


一斉にみんなが見つめた。





「偉そうなこと言って、ごめんなさい。



私、帰ります」




急いで病室から出て、廊下を早足で歩いていると、



パシッと腕を掴まれて立ち止まった。



「一緒に帰ろう」




海くん.......



「うん」




私が頷くと、海くんは私の手を繋いできて、


一緒に病院を出て、駅へと向かった。




「海くん、学校に戻ろう」




改札を通ろうとした海くんの手を引っ張って止めた。



「いいよ、もう授業も終わりだし」




「だって、部活が.....」




「いいよ。どうせ行ったって、宇崎が心配で稽古になんないから」





そんな........


「ごめんね、海くん。迷惑かけて」




一緒に改札を通ると、海くんは下を向いて笑った。



「迷惑だなんて思わないよ。



......彼女だろ」






そうだ私、海くんの彼女なんだ......


私今日、何やってんだろう......




「うん......」





海くんは下を向いたまま、こっちを見ないで歩き続けていた。









最寄駅に着き、家へと歩くと、


「公園に行こう」と海くんが私の手を引っ張った。