御劔 光の風3

「油断すんなよ。」

動揺したその隙を付かれ腹部に大きな圧迫を受けラスは吹き飛ばされた。

顔を上げてよくよく千羅の手元を見れば剣を握るその手にもう一つ何かが握りしめられている。

小瓶から少しずつ剣先に向けて滴り落ちている液体は何だろうか、深く考えなくとも自分の身体の状態で疑う余地も無かった。

毒薬だ。

「おま…っ!?」

衝動的に何か叫ぼうと声を上げたのも束の間、有無を言わさず千羅は再び怒涛の攻撃を仕掛けてきた。

動きたくとも動けない足が枷となって避けることも出来ずにその攻撃全てを受けてしまうラスは痛みさえ感じ始める。

次第に遠のいていく意識でぼんやりとサルスの方を見た。

余裕がない訳でもないのにこちらを気にしようともしない姿は先ほどの千羅の言葉を思い出させる。

声にならない声を吐き出してラスはその身体を千羅によって斬り刻まれてしまった。

ここまでやれば再生することもないだろう。

「たまには頭を使わないとな。」

残った薬ごと瓶を放り投げた千羅はその流れでカルサの様子を窺う。

剣を合わせている二人は互角の様に思えたが、表情を崩さない中にもサルス側に焦りの様なものを感じた。

その理由はカルサによって明かされる。

「思うように力を使えないんじゃないか?」

僅かに目を泳がせた姿をカルサは見逃さなかった。

「取り込んだ筈のサルスはまだお前の中で抵抗をし、お前を縛り付けている。」

重なった刃を弾き飛ばすとサルスは平静を装うようにその剣先を一度地面へと向けてカルサと向かい合う。

一定に保たれたその表情はまるで面のようだと感心さえしそうだ。