御劔 光の風3

呆然とする中で一つの事に気が付いた沙更陣は再び勢いを持って鉢にかぶりついた。

「あの子は…っ!」

まだ姿を見ていない人がいる、彼女が今どういう状況におかれているのかを知りたかった。しかしいくら探してみても見つからない。

この現場にいないのだろうか。

そう答えを出しそうになった時ジンロが必死に抱えている水晶の存在に気が付いた。

嫌な予感がする。

カルサは胸を貫かれて倒れていた、あの国でこんな戦いが起きている最中別の場所にいるとは考えにくい。だとすれば考えられる可能性はそこにあるのだ。

「…まさか…リュナ。」

そう呟いた瞬間に頭の中でロワーヌの言葉がこだました。

「私はセリナを連れていく。」

信じられない気持ちが強すぎて息を飲む。反射的に口を手で覆うと沙更陣の目はこれ以上ない位に大きく開かれて微かに揺れ続けた。

まさか。

その言葉が止まることなく頭の中で呟き続ける。

まさか。

そして玲蘭華とジンロ、ヴィアルアイとロワーヌの力の衝突が爆発して水面は光を放って元の水へと戻ってしまった。

反動で尻餅をつくような形になってしまったが沙更陣はそのまま動こうとはせず呆然とその目に景色を映し続ける。

始まった。

そう胸の内で呟くと沙更陣の目から一筋の涙がこぼれた。




「それ以来…ここには誰も帰ってきていない。」