御劔 光の風3

彼らは御劔といえど、太古の因縁には関わりのない場所にいる者たちなのだ。

「君たちはすぐに自分の国に帰りなさい。絶対に捕まってはいけない、いいね!?」

有無を言わせようとしない強い物言いの沙更陣の言葉に御劔たちの不安が増していく。

質問は受け付けず、ただ指示をする沙更陣の姿はここにきて初めて見るものだったのだ。

そこに今までの穏やかに微笑みはない、謁見の間に残してきた玲蘭華とジンロの様子も緊迫した空気を出していた。

この事態は唯事ではない、それは明白だ。

すぐにでも了承の返事をしないといけないのだろうが御劔たちは言葉を発する事を忘れるほどこの空気にのまれていた。

ただただ追い立てられているのだ。

やがて走り続けている沙更陣の横に一羽の鳥が高い鳴き声を響かせながら近づいてきた。

しばらく沙更陣と並走していたかと思うと、沙更陣は頷き言葉を放つ。

「分かった、ありがとう。」

この言葉を合図に鳥は再び高い鳴き声と共に大空へ戻っていった。

「あの二人以外に侵入者はいない。皆はこのまま国に帰りなさい。」

速度をゆるめた沙更陣の足が止まっていく。

御劔たちはそのまま走ることを保ちながら彼を追い越し、大きな不安を飲み込んで振り返ることもなく自分たちの国へ帰っていった。

彼ら御劔たちの背中も見えなくなった頃、沙更陣は背後に感じる冷たい気配に気付いて振り向いた。

そこにあったのは息を飲むほどの巨大な闇の威圧感、その大きさに背筋も凍る思いで存在を確認する。

自分の記憶を疑いたくなるほどかつての彼女とは異なる様子に沙更陣は息を飲んだ。初めて出会った時もここまで闇は深く無かった筈なのに、それ程まで亜空間の影響が強く出たのかと手が微かに震える。

暗闇をまとう中にいる人物は間違いなく彼女だった。