笑ってはいるものの、どこか乾いた声にハワードは言い様のない不安を感じる。次の言葉が見つからず沈黙が生まれるも、サルスは時が来たように静かに語り出した。
「俺は偶然に知ったんです。」
「偶然?」
「ナルの部屋で、偶然に。」
遠い目をするサルスの脳裏に浮かぶのは遠いあの日の記憶。
あれはまだカルサの両親もサルスの父親も生きていた頃の話だ。サルスの母親は彼を産んで間もなく息を引き取ってしまった。元々身体が丈夫ではなかった彼女は命がけでサルスを産んだのだ。
カルサの父親であるデルクイヤと兄弟であったサルスの父は兄の誘いを受けて同じ城内で住むようになった。
ハーブと共に姉弟のように育てようという提案を心から感謝したという。二人は実に仲のいい兄弟だったとよく聞かされていた。両親の仲が良くなかった分、兄弟の絆が深かったのだろう。
カルサも生まれ、そのうち三兄弟のように過ごす日々が当たり前のようになった。一人大人になるのが早かったハーブはいつも弟二人の未熟さに呆れていたのを思い出す。
とても愛しくて心温まる幸せな思い出だった。でもそんな穏やかな日々はこれまでの人生の中で僅かな時間に過ぎなかったのだ。
他国を訪問中、その国の国王夫妻と共にカルサの両親は馬車の事故で命を落としてしまった。故意によるものだと様々な憶測が流れたが結局真相は分からないまま。
不幸なことは続くものでサルスの父親もまた病に倒れてしまったのだ。もう長くはないという診断に誰もが不安を口にした。なぜなら国は幼い王子に託す以外に道はない。
そうしてカルサは何の後ろ盾もないまま突然に王位を継いで国王になった。
一番年上のハーブでさえまだ成人していない王室に国民は不安が隠せない。頼みの綱であったサルスの父は志半ばで間もなく息を引き取ってしまったのだ。
そのあとはもう必死だった。
カルサを守り支えていくこと、そして国を動かしていくことに必死で眠れない夜も何度あっただろうか。昼は臣下と対峙し夜は孤独と対峙する、強くなるために寂しくともカルサたちは互いの部屋は訪れないようにしていた。
カルサの決心を知ってしまったあの日、サルスはナルの所に相談に訪れていたのだ。近付いてくるハーブの誕生日に贈り物をしようと、カルサとの話し合いではらちが明かずにナルを頼ろうとした。
どうだ、自分でもこんなに喜ばせることが出来るんだぞ。ハーブへの労いと自分も大人であるということを見せつけたくて今回の贈り物は背伸びをする意味でもサルスは張り切っていたのだ。
「俺は偶然に知ったんです。」
「偶然?」
「ナルの部屋で、偶然に。」
遠い目をするサルスの脳裏に浮かぶのは遠いあの日の記憶。
あれはまだカルサの両親もサルスの父親も生きていた頃の話だ。サルスの母親は彼を産んで間もなく息を引き取ってしまった。元々身体が丈夫ではなかった彼女は命がけでサルスを産んだのだ。
カルサの父親であるデルクイヤと兄弟であったサルスの父は兄の誘いを受けて同じ城内で住むようになった。
ハーブと共に姉弟のように育てようという提案を心から感謝したという。二人は実に仲のいい兄弟だったとよく聞かされていた。両親の仲が良くなかった分、兄弟の絆が深かったのだろう。
カルサも生まれ、そのうち三兄弟のように過ごす日々が当たり前のようになった。一人大人になるのが早かったハーブはいつも弟二人の未熟さに呆れていたのを思い出す。
とても愛しくて心温まる幸せな思い出だった。でもそんな穏やかな日々はこれまでの人生の中で僅かな時間に過ぎなかったのだ。
他国を訪問中、その国の国王夫妻と共にカルサの両親は馬車の事故で命を落としてしまった。故意によるものだと様々な憶測が流れたが結局真相は分からないまま。
不幸なことは続くものでサルスの父親もまた病に倒れてしまったのだ。もう長くはないという診断に誰もが不安を口にした。なぜなら国は幼い王子に託す以外に道はない。
そうしてカルサは何の後ろ盾もないまま突然に王位を継いで国王になった。
一番年上のハーブでさえまだ成人していない王室に国民は不安が隠せない。頼みの綱であったサルスの父は志半ばで間もなく息を引き取ってしまったのだ。
そのあとはもう必死だった。
カルサを守り支えていくこと、そして国を動かしていくことに必死で眠れない夜も何度あっただろうか。昼は臣下と対峙し夜は孤独と対峙する、強くなるために寂しくともカルサたちは互いの部屋は訪れないようにしていた。
カルサの決心を知ってしまったあの日、サルスはナルの所に相談に訪れていたのだ。近付いてくるハーブの誕生日に贈り物をしようと、カルサとの話し合いではらちが明かずにナルを頼ろうとした。
どうだ、自分でもこんなに喜ばせることが出来るんだぞ。ハーブへの労いと自分も大人であるということを見せつけたくて今回の贈り物は背伸びをする意味でもサルスは張り切っていたのだ。



